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リデュース技術とは?製造工程の見直しで実現する環境負荷削減の最新事例
作成日:2022年2月25日 更新日: 2025年2月3日

「リサイクル」や「リユース」という言葉はよく聞くけれど、「リデュース」についてはどのくらい知っていますか?
本記事では、 「製造工程の見直し」によるリデュース技術 に焦点を当て、 企業の最新事例や個人ができる取り組み も紹介します。持続可能な社会の実現のために、今すぐできるアクションを一緒に考えてみましょう。
ス ポ ン サ ー リ ン ク
リデュース技術とは
「リデュース(Reduce)」とは、ごみの発生を抑え、資源の消費を減らす取り組み のことです。リサイクルやリユースが「出たごみを再利用する」のに対し、リデュースは 「そもそもごみを出さない」 ことを目指します。
このリデュースを含めた3つの取り組みを 「3R」 と呼びます。
リデュース(発生抑制):ごみの発生を未然に防ぐ
リユース(再使用):使えるものは繰り返し使う
リサイクル(再生利用):ごみを資源として再利用する
さらに、 「リフューズ(不要なものを断る)」 や 「リペア(修理して長く使う)」 を加えた 「5R」 の考え方も広まっています。

なぜリデュースが必要なのか?
リデュースが求められる背景には、 大量生産・大量消費による環境問題 があります。
大量ごみが引き起こす問題
- 焼却時のCO₂排出 → 地球温暖化の要因に
- ごみの運搬エネルギー消費 → 輸送時にも環境負荷
- 埋め立て処分場の逼迫 → 土地不足の問題
- 海洋プラスチック汚染 → 生態系への悪影響
これらを解決するために、 1990年代から「3R」の取り組みが本格化しました。
特に リデュースは最も重要な施策として位置づけられています。
参照:環境省、「小冊子『3Rまなびあいブック(大人向け)』序章 なぜ3Rなの?」

製造工程におけるリデュース技術
リデュースは 製品の省資源化や長寿命化 に限りません。
「製造工程の見直し」 も重要なリデュース技術です。
具体的なリデュース技術
- 製造時の廃棄物削減
工場での副産物や廃棄物を最小限に抑える - 不良品の発生率を低減
製造精度を向上させ、ムダをなくす - 洗浄・加工技術の改善
例えば、ドライアイス洗浄技術を導入し、洗浄時の廃棄物を削減
循環型社会づくりにおけるリデュースの位置づけ
2000年に制定された循環型社会形成推進基本法では、まず製品が廃棄物となることを抑制し(リデュース)、次に発生した廃棄物についてはできるだけ資源として適正に利用し(リサイクル)、最後にどうしても利用できないものは適正に処分することにより、天然資源の消費が抑制され、環境への負担ができる限り低減された循環型社会を実現することを目指しています。
この循環型社会を作る上で、廃棄以降の段階に回る物質の量を減らす取り組みであるリデュースは最も優先度の高い対策であると位置付けられています。
参照:環境省、「循環型社会への新たな挑戦」
企業のリデュース取り組み事例
リデュース技術を活用し、 実際に製造工程を改善した企業の事例 を紹介します。
事例1:ドライアイス洗浄による廃棄物削減
従来の洗浄方法 では、砂や水、プラスチックを噴射して汚れを落としていました。
しかし、ドライアイス洗浄技術 を導入すると…
✅ 洗浄力アップ
✅ 使用後の回収不要(ドライアイスは昇華するため)
✅ 廃棄物の発生がゼロに
事例2:自動車部品製造におけるスクラップ削減
自動車部品の鍛造(たんぞう)工程では、 金属部品を加工する際に「バリ(不要な部分)」が発生 します。
これを削減する技術を開発することで…
✅ スクラップ量の削減
✅ 加工エネルギーの節約
✅ 部品の軽量化
このように、製造プロセスの見直しがリデュースに大きく貢献 しています。
参照:グリーンテックジャパン、「特長 | ドライアイス洗浄機(ドライアイスブラスト)」
Honda、「Hot! Eyes」


個人でできるリデュースの取り組み
企業だけでなく、 私たち個人も日常生活でリデュースに貢献 できます。
今日からできるリデュースアクション
- 不要なものを買わない・もらわない
- 長く使える製品を選ぶ・修理して使う
- マイバッグ・マイボトルを持ち歩く
- 詰め替え容器や簡易包装の商品を選ぶ
- シェアリングサービスを活用する(レンタルなど)
これらを 日常の習慣にするだけで、リデュースを実践 できます!
引用:環境省、「【特集】3R徹底宣言! | 特集 | ecojin(エコジン)」
ここにあげたアクションを見てみると、買い物の際に少し気をつけるだけで改善できることばかりです。できるだけ無駄なものを買わない、ごみが少ない製品を選ぶという意識がリデュースにつながっていきます。
世界のリデュース最新事情
リデュースは 世界中でも積極的に推進 されています。
フランス:使い捨てプラスチック削減
- 2020年に新法を制定
- 2040年までに使い捨てプラスチックを完全廃止
- 2025年までに不要なプラスチックを100%削減
韓国:ゼロ・ソウルプロジェクト
- カフェ・レストランで使い捨て容器を削減
- リユース可能なカップや包装材を推進
参照:EICネット、「韓国環境部とソウル市、コーヒーショップの使い捨てカップ廃止に向けたプロジェクトを開始 |環境ニュース[海外]」
イギリス:研究プロジェクトによる解決策
新しいプラスチック素材の開発支援(800万ポンド)
消費者行動の研究を通じてリデュース推進
参照:EICネット、「イギリスのUKリサーチ・イノベーション、プラスチック廃棄物問題を解決する革新的な研究プロジェクトを公募|環境ニュース[海外]」
UKRI – UK Research and Innovation
このように、各国が政策や研究を通じてリデュースを推進 しています。
まとめ
「リサイクル」や「リユース」に比べ、 リデュースはあまり注目されていません。
しかし、そもそも廃棄物を減らすことが最も環境にやさしい 取り組みです。
- 製造工程の見直しによるリデュース技術 は、企業の環境負荷削減に貢献
- 個人の生活の中でもリデュースは簡単に実践可能
- 世界各国でもリデュースに関する政策が進行中
この記事を通してリデュースが重要であり、日常生活の中で気軽に取り組むことができるということを理解していただけましたら幸いです。
ス ポ ン サ ー リ ン ク
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株式会社OUTSENSE(あうとせんす)

株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性のや機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決をいたします。
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株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性や機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決をいたします。本ブログでは、「折り工学」や研究開発、環境技術について発信しています。
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