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【SDGs時代の必須知識】ISO26000の概要・7つの原則・活用事例をわかりやすく解説!

作成日:2022年8月20日 更新日:2025年3月17日

「ISO9001」や「ISO14001」は聞いたことがあるけど、「ISO26000」は知らない……という方も多いのではないでしょうか?

ISO26000は、企業や団体が社会的責任(CSR)を果たすための国際規格です。

近年、SDGs(持続可能な開発目標)やコンプライアンスの重要性が高まる中で、ISO26000は世界中で注目されています。
本記事では、ISO26000の概要や生まれた背景、具体的な内容や最新の活用事例について詳しく解説します。

ス ポ ン サ ー リ ン ク

目次

ISO26000とは?

ISO26000(アイ・エス・オー・にまんろくせん)とは、国際標準化機構(ISO)が2010年11月に発行した、組織の社会的責任(CSR)に関する国際規格です。
ISO26000は、企業だけでなく、政府機関、NGO、教育機関など、あらゆる組織に向けた世界初のガイダンス文書として開発されました。

その目的は、組織が社会的責任を果たし、持続可能な社会の実現に貢献することです。
また、ISO26000は認証を目的としたものではなく、組織が自主的に社会的責任を実践するための指針となることを目的としています。

ISO26000が生まれた背景

ISO26000が生まれた理由は、大きく以下の3つに分けられます。

企業活動のグローバル化による国際基準の必要性

近年、企業活動が国境を越えて展開されるようになり、労働問題や環境問題が世界規模で発生しています。

特に、発展途上国における低賃金労働や環境破壊が問題視され、企業に対して社会的責任を求める声が高まりました。

CSR(企業の社会的責任)の重要性の高まり

企業の不祥事が相次ぎ、消費者や投資家の企業に対する目が厳しくなっています。 たとえば、大手企業が環境汚染や労働搾取を行ったことで、企業イメージが大きく損なわれた事例が多数あります。 そのため、企業は利益追求だけでなく、社会に貢献する責任があるという考えが広まりました。

持続可能な社会への貢献

環境破壊や貧困問題など、世界的な社会課題が深刻化しています。特に、SDGs(持続可能な開発目標)が国際的な共通目標となったことで、企業や団体の社会的責任がより重視されるようになりました。

ISO26000の特徴

ISO26000には、他のISO規格とは異なる以下の特徴があります。

企業だけでなく、あらゆる組織が対象

ISO26000は対象者を企業に限定せず、民間、公的機関、非営利団体等を問わずあらゆる形態の組織が利用可能です。ISO26000に書いてあること全てがあらゆる組織に同等に適用されるというわけではありませんが、どのような組織であっても社会的責任に関する中核主題には関連を持っています。

認証を目的としないガイダンス規格

ISO26000は「組織が社会的責任を果たすための指針」として作られています。そのため、ISO26000に準拠したことを証明するための審査や認証はありません。

多様なステークホルダーの参加による策定

ISO26000は、99カ国の代表と、政府、企業、労働者団体、消費者団体、NGOなどのステークホルダーが参加し、慎重に議論を重ねて作られました。

CSRとは?

ISO26000はCSRに関連する国際規格です。

CSR(シー・エス・アール)とは「Corporate Social Responsibility」の略称で、企業がより良い社会の実現の為に、組織活動を行うにあたって担う社会的責任の事を指します。企業は利益を追求するだけでなく、従業員や消費者、投資者といったステークホルダーや、環境などへの配慮や社会貢献にいたるまでの幅広い領域において、適切な対応を行う義務があります。

CSR活動が必要となった背景には、企業の頻発する不正行為に対して、社会の見る目が変化したことにあります。企業が仕事をして対価を得て存続していく過程には必ず社会との繋がりがあり、企業は社会の中で企業の活動がどのような影響を及ぼすのかを考えて意思決定をし、事業を存続してくかを意識する必要があります。

ISO26000の7つの原則

ISO26000では、組織が社会的責任を果たすために尊重すべき「7つの原則」が定められています。

説明責任

自社の活動が社会にどのような影響を与えるのかを説明し、責任を持つ。

「透明性」

組織の意思決定や活動の透明性を保つ。

「倫理的な行動」

公正かつ誠実に行動し、法令遵守を徹底する。

「ステークホルダーの利害の尊重」

顧客、従業員、取引先、地域社会など、関係者の意見を尊重する。

「法の支配の尊重」

国や地域の法律を遵守する。

「国際行動規範の尊重」

国際的な基準や規範に従い、公正な事業運営を行う。

「人権の尊重」

すべての人の基本的人権を尊重する。

7つの中核主題とは?

ISO26000は、以下の7つの中核主題を通じて、組織が社会的責任を果たすことを求めています。

  1. 組織統治(ガバナンス):適切な意思決定の仕組みを持つこと
  2. 人権:差別の排除、労働環境の改善
  3. 労働慣行:適切な労働環境の提供、安全対策
  4. 環境:環境保護、エネルギー管理、温室効果ガス削減
  5. 公正な事業慣行:不正防止、公正な取引の実施
  6. 消費者課題:消費者保護、製品の安全性向上
  7. コミュニティへの参画および発展:地域貢献、教育・福祉活動

ISO26000の具体的な活用事例

企業による活用事例

  • トヨタ自動車:サプライチェーン全体での環境負荷低減
  • ユニクロ(ファーストリテイリング):労働者の権利保護・公正な賃金制度の導入

自治体による活用事例

  • 東京都:ISO26000の指針に基づいた持続可能な都市開発

教育機関による活用事例

  • 東京大学:ISO26000を活用したサステナビリティ教育

まとめ

ISO26000は、企業だけでなく、自治体や教育機関など、あらゆる組織が活用できる社会的責任のガイドラインです。
社会的責任がますます重要視される現代において、ISO26000の考え方を取り入れることで、持続可能な社会の実現に貢献できます。
あなたの組織でも、ぜひISO26000を活用してみてはいかがでしょうか?

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株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性のや機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決をいたします。

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株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性や機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決をいたします。本ブログでは、「折り工学」や研究開発、環境技術について発信しています。

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