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【サステナビリティとは?】2024年最新動向と企業事例・メリットを解説

作成日:2022年8月13日 更新日: 2024年12月17日

近年、「サステナビリティ」という言葉が注目されていますが、その意味や背景について正確に理解している人はまだ少ないかもしれません。

サステナビリティは単なる流行語ではなく、地球環境の保全や持続可能な社会の実現に欠かせない考え方です。企業にとっても経営戦略の一部として導入が進み、SDGsとも密接に関わっています。

この記事では、サステナビリティの意味や必要性、2024年の最新動向や企業事例、取り組む際のメリット・課題について詳しく解説します。

ス ポ ン サ ー リ ン ク

目次

サステナビリティとは?

「サステナビリティ(sustainability)」とは直訳すると「持続可能性」を意味します。

サステナビリティ経営の考え方では、地球環境と人間社会が良好な関係を保ちながら共存し、発展し続けていくことを目指します。

近年耳にすることの多い「SDGs」は、貧困や気候変動など世界が直面する課題解決のため、2015年に国連総会で採択された17の「持続可能な開発目標」のことですが、この「SDGs」のSはサステナビリティを表しているのです。

サステナビリティ経営では、「環境・社会・経済」の観点においての課題解決が重視されます。

「環境」の課題としては森林伐採や海洋汚染、温室効果ガスの排出問題、「社会」の課題としてはジェンダーや教育の格差、難民問題、「経済」の課題としては貧困問題、労働環境整備、セーフティネットなどの社会保障の拡充などが挙げられます。

このような課題の解決を目指し、今後長期間にわたって地球環境を壊すことなく、資源も使い過ぎず、人権を侵害することなく、法令を遵守しながら良好な経済活動を維持し続けることがサステナビリティ経営の目標なのです。

サステナビリティが必要とされている理由

サステナブルな社会とは、地球の環境を壊さず、資源も使いすぎず、未来の世代も美しい地球で平和に豊かに、ずっと生活をし続けていくことができる社会のことですが、その実現は容易なことではありません。

気候変動

例えば、現在、深刻な環境問題として地球温暖化が急速に進行しています。 この主因は経済活動による二酸化炭素の排出量の急増だと考えられており、このまま地球温暖化が進行し続ければ、2100年には最大で4.8℃上昇するという予測もあります。 このような地球温暖化は世界各地に気候変動をもたらし、集中豪雨や干ばつ、猛暑といった異常気象を引き起こすなど、各国で深刻な影響が出ています。 この問題を受け、EUでは2030年までに温室効果ガス排出量55%削減を目標としています。

世界の人口増加

また、地球人口の急増も問題視されています。

2015年に約73億人だった人口が、発展途上国での急速な人口増加によって、2050年に世界人口は100億人を超えると予測されています。地球上の人口が急激に増え続ければ、食糧問題、水不足、さらなる環境破壊などを引き起こす可能性があります。

こうした問題を考えると、人類が豊かに生存し続けるための基盤である地球環境は限界に達しつつあることが分かります。

世界中の人々が力を合わせてこのような危機を脱しようと考えられたのがサステナビリティなのです。

サステナビリティとCSRの違い

サステナビリティと良く混同されがちな言葉に「CSR」があります。

「サステナビリティ」と「CSR」の違いを見ていきましょう。

CSRとは企業の社会的責任のことで、Corporate Social Responsibilityの略語です。「企業の社会的責任」と訳されます。CSRでは、企業は利益を追求するだけでなく、従業員や消費者、投資者といったステークホルダーや、環境などへの配慮や社会貢献にいたるまでの幅広い領域において、適切な対応を行う義務があると考えます。

サステナビリティとCSRは「よりよい社会を目指す」という意味で方向性は同じですが、サステナビリティやSDGsは、企業だけでなく国や個人など社会全体が主体です。一方でCSRは「企業の」社会的責任という意味なので、あくまでも企業の事業活動における責任に限られます。

このように主体は異なりますが、企業がCSRを意識した経営活動をすることは、結果的にサステナビリティの向上にもつながります。

基準となるサステナビリティの指標

サステナビリティの指標にはGRIスタンダードやDJSIなどがあります。

GRIスタンダードとは

GRI(Global Reporting Initiative)は、オランダのアムステルダムに本部を置く、サステナビリティに関する国際基準を策定する非営利団体です。

GRIスタンダードはこのGRIが提供するフレームワークであり、抽象的な概念である「サステナビリティ」を可視化するための指標となります。

2021年1月時点で、世界で4000社以上、日本で80社がGRIスタンダードに準拠して報告書を作成しています。

GRIスタンダードのフレームワークにより、経済、環境、社会に与えるインパクト(プラスとマイナスのインパクト、外部に与えるインパクトと外部から受けるインパクトを含む)を報告し、持続可能な発展への貢献を説明できます。

DJSIとは

DJSI(The Dow Jones Sustainability Indices)とは、1999年に米国のS&P Dow Jones Indices社とスイスのRobecoSAM社が共同開発した投資家向けの指標です。

世界の主要企業の持続可能性(サステナビリティ)を評価し、総合的に優れた企業をDJSI銘柄として選定します。

2021年は、全世界で322社がDJSI銘柄として選ばれ、そのうち日本企業は以下の35社でした。

本田技研工業、伊藤忠商事、小松製作所、LIXIL、三井物産、ナブテスコ、双日、TOTO、凸版印刷、ニコン、積水化学工業、住友林業、野村ホールディングス、味の素、日清食品ホールディングス、オリンパス、シスメックス、資生堂、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、SOMPOホールディングス、三菱ケミカルホールディングス、Zホールディングス、中外製薬、第一三共、小野薬品、日本プロロジスリート投資法人、ファーストリテイリング、丸井グループ、楽天、NEC、野村総合研究所、エヌ・ティ・ティ・データ、オムロン、リコー、ANAホールディングス

企業がサステナビリティ経営に取り組むメリット

企業にとって負担にもなり得るサステナビリティに積極的に取り組むことは、一見するとデメリットが大きいように思う人もいるかもしれません。

実は、サステナビリティに取り組むことには様々なメリットが存在するのです。

ここでは、企業がサステナビリティに取り組むメリットを4つ紹介します。

企業ブランドの成長

例えばユニリーバは、サステナビリティをブランド戦略の中核に据え、「環境や社会に配慮した製品・サービスを利用したい」という消費者ニーズを捉えるため「サステナブル・リビング・ブランド」を構築し展開することで自社ブランドの成長を図っています。 このように、環境や社会に配慮した製品やサービスを利用したいという消費者のニーズに合わせたブランドを展開 することで、自社の成長に繋げることができます。

従業員エンゲージメントの向上

サステナビリティの取り組みには、従業員一人ひとりが自分らしく働ける環境の整備も含まれます。

多様性を尊重し、さまざまなライフステージにいる従業員すべてにとって働きやすい環境とすることで従業員の満足度は高まり、エンゲージメントが向上すると考えられています。

また、働きやすい環境をつくることで、人材採用の面でも大きなメリットがあると考えられます。

コストの削減

サステナビリティの考え方のもと、製品製造過程におけるエネルギーや廃棄物の量、原材料の使用量削減や効率化に取り組むことで、コストの削減も期待できます。

資金調達の幅が広がる

サステナビリティに取り組むことで、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)に配慮している企業へ行う投資、いわゆる「ESG投資」による資金調達が受けやすくなる傾向にあります。

最近では銀行からの融資を受ける際にもサステナビリティへの貢献が判断基準となりつつあり、サステナビリティに積極的に取り組まない企業は、長期的な成長、持続性に欠けると判断され、投資や融資などの対象から外される可能性があるということです。

企業が取り組むサステナビリティ経営のデメリット

このようにメリットが多いサステイナビリティ経営ですが、気を付けなければならないデメリットもあります。

以下では、考えられるデメリットを2点紹介します。

機会損失やコストの上昇につながる

正しく行えばコスト削減が期待できるサステナビリティ経営ですが、中途半端に環境活動に取り組むと、機会損失やコスト上昇に繋がるなどのリスクが伴います。 例えば従来使用していた素材を、より環境に優しいものに置き換えると、コストが高くついてしまうかもしれませんし、既存顧客は離れてしまうかもしれません。 サステナビリティを実現するためには、それらのリスクを承知した上で挑戦する必要があります。

サステナビリティに取り組む部署が孤立する

大企業ではサステナビリティと関連してCSR部が設立されていることが多くあります。

そのような企業において、サステナビリティは企業全体として取り組まなければ効果が出にくいにも関わらず、CSR部が孤立しやすいというデメリットもあります。

企業が取り組むサステナビリティ経営の事例

ユーグレナ

ユーグレナ社は、「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をフィロソフィーとして掲げるバイオテクノロジー企業で、世界の食糧問題や環境問題を解決するための事業を推し進めています。

ユーグレナ社では、地球温暖化対策の一つとして、カーボンニュートラルであるバイオ燃料の製造に力を入れています。

2020年にはバイオディーゼル燃料の供給を開始し、2021年には国産で初のバイオジェット燃料を完成させ、バイオ燃料での航空機のフライトを実現しました。

これらバイオ燃料は新世代のサステナブルな燃料として注目が集まっています。

写真引用:ユーグレナ

https://www.euglena.jp/businessrd/energy/susteo/

大林組

日本の大手ゼネコンのひとつ大林組では、中長期環境ビジョン「Obayashi Sustainability Vision2050(OSV2050)」を策定しています。

2040年から2050年の目標と事業展開の方向性を定めるとともに、2050年のあるべき姿を定義づけ、具体的なアクションプランとKPIを設定し、地域・社会・人のサステナビリティの実現に向けて取り組みを推進しています。

テスラ

テスラは再生可能エネルギーと電気自動車(EV)の分野で市場をリードしています。 2024年には、エネルギー効率を向上させた次世代バッテリー「4680セル」の量産を加速し、車両の航続距離を大幅に向上させました 。また、自社の太陽光発電パネル「ソーラーシステム」と家庭用蓄電池「Powerwall」を組み合わせたクリーンエネルギーソリューションを展開し、エネルギー自給自足を目指す家庭や企業に導入が進んでいます。

パタゴニア

アウトドアブランドのパタゴニアは「地球を救う」という理念のもと、サーキュラーエコノミーを強化。

**「ウェア・リサイクル・プログラム」**では、顧客が不要になった製品を回収し、修理・再販することで廃棄物削減を実現。

2024年には製品原材料の98%をリサイクル素材に置き換え、環境負荷をさらに低減しています。また、従来の「修理サービス」を拡大し、長期的に使い続けるライフスタイルを顧客に提案しています。

IKEA

世界最大の家具量販店「IKEA」では、「ピープル・アンド・プラネット・ポジティブになる」という戦略を掲げ、SDGsに沿い、2030年までに達成すべき目標を設定しています。

気候変動に対する取り組みでは、「サステナブルで健康的な暮らしを支援する」をテーマに、節水や節電、ゴミの分別の啓発をしつつ、健康的な生活を送れる商品とアイデアを提供し、原料の85%が植物由来のバイオプラスチックなどを販売し、2016年度には全世界で2,000億円の売上を達成しています。

まとめ

多くの企業がサステナビリティに関する経営ビジョンや中期経営目標を掲げ、サステナブル経営に取り組んでいることがわかりました。皆さんの会社でも、機会損失のリスクは起きないかどうかに注意し、人員・部署の体制を考慮しながら、サステナブル経営を目指していきましょう。

ス ポ ン サ ー リ ン ク

こ の 記 事 を 書 い た 人

株式会社OUTSENSE(あうとせんす)

株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性のや機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決をいたします。

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(あうとせんす)

株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性や機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決をいたします。本ブログでは、「折り工学」や研究開発、環境技術について発信しています。

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