2022.03.25

プラスチック容器とプラごみ問題に関して深掘り! 現状と適切なリサイクル法について学び、環境に配慮した適切な容器選びができるようになりましょう!

ゴミの大半を占める「容器」と「包装」

日本では年間5,059万トン(平成16年度)ものごみが排出されています。そのうち、家庭から排出される生活系ごみは3,405万トンであり、この生活系ごみのうち「容器包装廃棄物」は容積比で約60%もの割合を占めています。

こうした「容器包装廃棄物」を「資源」へと甦らせるために、平成7年6月「容器包装リサイクル法」が公布され、平成9年4月から施行されました。さらに、平成18年6月には、3R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進するために、同法の一部を改正する法律が公布されました。

持続可能な省資源社会の構築のために、消費者、市町村、事業者すべての人々が、相互に密接に連携しつつ、それぞれの役割を担うことが求められています。

プラスチック容器の適切な分別によって環境を守ろう

プラスチック容器のリサイクルの基本的な方針

容器包装リサイクル法の特徴は、従来は市町村だけが全面的に責任を担っていた容器包装廃棄物の処理を、消費者は分別して排出し、市町村が分別収集し、事業者(容器の製造事業者・容器包装を用いて中身の商品を販売する事業者)は再商品化(リサイクル)するという、3者の役割分担を決め、3者が一体となって容器包装廃棄物の削減に取り組むことを義務づけたことです。

これにより、廃棄物を減らせば経済的なメリットが、逆に廃棄物を増やせば経済的なデメリットが生じることになります。

容器包装リサイクル法で定められている容器包装

容器包装リサイクル法でいう「容器包装」 とは、商品を入れる「容器」および商品を包む「包装」(商品の容器及び包装自体が有償である場合を含む)であり、商品を消費したり商品と分離した場合に不要となるものです(法第2条第1項参照)。

容リ法の分別収集の対象となる容器包装は、ガラスびん、PETボトル、紙製容器包装、プラスチック製容器包装、アルミ缶、スチール缶、紙パック、段ボールですが、アルミ缶以下の4品目については、すでに市場経済の中で有価で取引されており、円滑なリサイクルが進んでいるので、再商品化義務の対象とはなっていません。

容器包装プラスチックのリサイクル方法

容器包装プラスチックのリサイクルは、以下の3つの方法に分けられます。

・マテリアルリサイクル

・ケミカルリサイクル

・サーマルリサイクル

国は、持続可能性の高いマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルを優先し、プラスチックを再び製品として利用することを目指しています。

マテリアルリサイクル

“マテリアル”は原材料を意味する言葉です。文字通り、廃棄物を原材料として再利用することを指します。例えば、使用済みの缶を潰し、溶かし、再び固形化することで新たな缶製造の原材料としたり、おなじみのペットボトルは、粉砕して、加工処理を加えることで線維化させ、衣類の原材料となっています。このように限りある資源の再生循環を生みだし、有効に活用するマテリアルリサイクルは、私たちの生活において、もはや欠かせないものとなっています。

ケミカルリサイクル

廃棄物に化学的な処理をして原料に戻してからリサイクルすることです。石油から作られたプラスチックを再び油化、ガス化して化学原料としたり、燃料油やコークス炉の化学燃料として再利用する。畜産の汚物によるバイオガス化などがよく知られた例になります。

サーマルリサイクル

廃棄物を単に焼却処分するだけではなく、焼却した際に発生する熱エネルギーを回収し、利用するのがサーマルリサイクルです。“サーマル”という言葉は“熱による”を意味します。焼却時に排出された熱エネルギーは、主に発電や温浴施設、暖房設備の熱源として効率よく使用されます。

深刻化するゴミ問題と事業者に求められる対応

プラスチックごみは深刻な問題となっている

プラスチックごみが注目されている理由として、プラスチックごみが抱える世界規模の問題があります。

 

・海洋プラスチック問題

丈夫で安定性に優れているプラスチックが海洋に入り込んでしまうと、何十年も場合によっては何百年も分解されずに残って海洋を汚染してしまうという問題です。このプラスチックごみを海洋生物が誤って食べて死んでしまったり、体にからまって傷ついてしまうことで生態系に大きな脅威を及ぼしています。

 

・マイクロプラスチック問題

これはサイズが5mm以下の微細なプラスチックごみのことで、海岸に流れ着いたプラスチックごみが、紫外線や波の影響を受けて長い年月をかけ分解したものや、もともと歯磨き粉などに混ぜる小さなプラスチック粒子(マイクロビーズ)が下水道を通じて海に放出されたりするなどして作られたものです。

日本近海でも調査の結果、目で見る事はできませんが、存在している事が判明しています。

事業者に求められるゴミの処分方法

事業者はその事業において用いた、又は製造・輸入した量の容器包装について、リサイクルを行う義務を負います。実際には、容器包装リサイクル法に基づく指定法人*にリサイクルを委託し、その費用を負担することによって義務を果たしています。

また、リサイクルを行うだけでなく、容器包装の薄肉化・軽量化、量り売り、レジ袋の有料化等により、容器包装廃棄物の排出抑制に努める必要があります。

*指定法人……(財)日本容器包装リサイクル協会

エコフレンドリーな製品を手に取ろう!

環境に配慮した容器を選びましょう!

環境に配慮した容器を選ぶときの判断基準として、以下のようなものがあります。

 

①分別しやすい容器を選ぶ

ごみをしっかり分別して廃棄することで、資源としてリサイクルすることができます。紙やプラスチックの複合素材で分別が難しかったり、洗えないなどの理由で可燃ごみで廃棄すると、焼却時にCO2が発生して、地球温暖化につながります。 「識別マーク」がわかりやすく表示されており、分別しやすい容器を選ぶことにより、資源をしっかりリサイクルすることができます。

 

②環境にやさしい素材でできた容器を選ぶ

プラスチック容器は正しく廃棄されないと、マイクロプラスチック化されて環境を汚染する恐れがあります。プラスチックに変わる素材の容器が、多数開発されています。資源をリサイクルをすることは大事ですが、海洋プラスチック問題やマイクロプラスチック問題を解決するには、そもそもプラスチックのリデュースをすることが大事です。

エコフレンドリーな素材でできた容器の製品例

①FSC®認証の紙容器

FSC認証とは、FSC(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)の基準に則り、適切な森林管理を認証する制度です。

世界中で森林の破壊や劣化が大きな問題となっていますが、木材などの材料は私たちの生活に不可欠なため、森林をまったく使用しないということはできません。

そこで、適切な管理が行われている森林の木を使い、破壊や劣化を招くことなく木材消費を促進しようという取り組みです。

このFSC認証の紙から作られた容器を使うことで、プラスチックごみの削減に貢献ができます。

 

②石からできた素材

日本に豊富に埋蔵されている「石灰石」を主成分とした新素材が開発されました。それが「LIMEX(ライメックス)」という素材です。

このライメックスは、一見すると紙のようで印刷もできますが、耐水性に優れており、紙とプラスチック、両方の特性をあわせもつような材質です。 現状では、レジ袋、持ち帰り用バッグ、カトラリー、名刺やPOPなどで製品化されています。 

この素材は石灰石(炭酸カルシウム)にポリプロピレンなどの樹脂を練り込むことによって作られ、原料に木を一切使わず、紙の製造時と比べて使用する水も大幅に削減できるので、限りある資源の節約になります。

また、紙と同じようにリサイクルすることも可能です。

容器包装プラスチックをリサイクルした製品

容器包装プラスチックをリサイクルした材料を用いて、下記のようなプラスチック製品に使われています。

 

・食品・化粧品容器、玩具等

【製品全重量に対する再生プラスチックの使用割合:40%以上】

→弁当箱タイプトレー、化粧品容器、トランプ札

・フィルム製品

【製品全重量に対する再生プラスチックの使用割合:40%以上】

→包装用品、多層フィルム使用のファイル

・繊維製品

【製品全重量に対する再生プラスチックの使用割合:50%以上】

→衣服、カーペット、テント

・機能性事務所用品等

【製品全重量に対する再生プラスチックの使用割合:50%以上】

→カセットテープカートリッジ、空気清浄器フィルター

・文房具

【製品全重量に対する再生プラスチックの使用割合:70%以上】

→ボールペン、ファイル、ペントレー、写真 用ホルダー

・屋外家具・園芸用品

【製品全重量に対する再生プラスチックの使用割合:50%以上】

→ベンチ、テーブル、植木鉢、柵

・その他家庭用品、建築構造用品等

【製品全重量に対する再生プラスチックの使用割合:70%以上】

→卵パック、バケツ、ごみ箱、ハンガー、簀の子、たわし、ソファー、ボード、アンカーピン

環境に配慮した容器を使用してプラゴミを減らしましょう

「容器包装リサイクル法」を理解し、3R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進しながら、消費者、市町村、事業者すべての人々が、相互に密接に連携しつつ、持続可能な省資源社会の構築のために、それぞれの役割を果たす必要があります。

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