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【CSRとは?】CSRレポートの現状について詳しく解説!
作成日:2022年8月27日 更新日: 2024年6月5日
近年、多くの企業や自治体、大学等の組織が、CSRレポートやサステナビリティレポートを公開しています。レポートを公開する会社や組織の側としても、消費者や投資家、社会の一員としても、CSRレポートやサステナビリティレポートの書き方や内容について、理解しておきましょう。
ス ポ ン サ ー リ ン ク
目次
そもそもCSRとは
CSR(=Corporate Social Responsibility)とは「企業の社会的責任」のことです。企業は社会に存在する以上、社会や環境に何らかの影響を与えています。
企業は自社が与える影響を自覚し、地球環境や社会、消費者や従業員などのステークホルダーに対して責任を負うことが求められています。これがCSRの基本的な考え方です。
CSRレポートとは何か
CSRレポートの役割
CSRレポートには大きく分けて以下の3つの役割が存在します。
- 企業が経済・環境・社会に配慮しバランスの取れた経営をするための指針
- 社員が自社の企業活動およびその意義について理解を深めるための基準
- 企業が社内外のための情報基盤
CSRレポートは、単なる企業の宣伝・広告ツールとは異なります。企業にとってプラスになることも、マイナスになることも含めて、社内外のステークホルダーが企業を評価するための情報が載った報告書です。また、各従業員がその企業の構成員として行動し意思決定をする際の道しるべとしての役割もあります。
CSRレポートとサステナビリティレポートの違い
「サステナビリティ(sustainability)」とは、直訳すると「持続可能性」を意味します。サステナビリティの考え方では、地球環境と人間社会が良好な関係を保ちながら共存し、発展し続けていくことを目指します。
CSRレポートは企業の特定の社会的責任や慈善活動、従業員の福祉、地域貢献などに焦点を当て、具体的なプロジェクトや取り組みを強調します。
一方、サステナビリティレポートは、CSRを含みながらも、環境(Environment)、社会(Society)、ガバナンス(Governnance)の3つで構成されるESGの幅広い視点から、企業の持続可能性を評価します。
CSRレポートの現状
日本におけるCSRレポートの現状について、以下のようなアンケート結果があります。
- 【調査内容】CSR・サスティナビリティレポートの発行の有無について
- 【対象期間】2017年11月~2018年1月
- 【対象企業】3000社(上場第1部、第2部、マザーズ、 計2,795社および非上場売上高上位205社)
- 【回答企業】140社
- 【結果】CSR・サスティナビリティレポートを発行していると答えた企業は56社にものぼった
出典:新時代の非財務情報開示のあり方に関する 調査研究報告書
ESG投資の広がり等にもみられるように、世界的に企業評価への非財務情報の活用がすすんでおり、日本でも企業の社会課題の解決への貢献度合いやその取り組みに対する関心が高まっています。
また、CSR活動は今や上場企業のみに求められるものではなく、上場企業や国や自治体と取引のある中小企業にも求められるようになってきています。こうした背景から、CSRレポートの発行は中小企業においても広がりを見せています。
日本企業のCSRレポートの事例
大阪ガス株式会社(大阪ガスグループ、現:Daigasグループ)
大阪ガスにおいては企業理念で宣言している「4 つの価値創造」の対象者で
ある「お客さま」「社会」「株主さま」「従業員」を中心に、マルチステークホルダーを対象にCSRに関する情報を開示しています。
・中長期計画では、バウンダリーをバリューチェーンにまで広げて、CSR に関わる各 指標設定や活動に取り組んでいく。特に環境面では、2017 年度から 2030 年度まで に累計約 7,000 万トンの CO2排出削減に取り組むことを宣言。
・事業と密接に関係し、最も貢献できる項目を中心にSDGs の目標を整理。CO2削減の 長期目標と関連する目標 13 の気候変動を中心に据え、目標 7、9、12 を手段として位置付け。事業拡大の下支えとなる人材確保、ダイバーシティ、イノベーションに関連する目標 5、8、11 にも貢献していきます。SDGs に関連付けたビジネスの発想をどう育てていくかが今後の課題。
Daigasグループ:https://www.daigasgroup.com/sustainability/index.html
大和ハウス工業株式会社
長期投資先として選定されることを意識し、企業評価機関・機関投資家・有識者を対象にCSRレポートを発行しています。
“大和ハウスグループの価値創造”に欠かせない 3 つの経営基盤(人財基盤、顧客基 盤、技術・ものづくり基盤)や強み(情報力、課題解決力、複合的な事業提案力)を軸に、グループの成長性を伝えています。
図出展 大和ハウスグループ:https://www.daiwahouse.co.jp/sustainable/csr/vision/
日本の大学のCSRレポートの事例
東京大学
東京大学では「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律(環境配慮促進法)」に基づき、「東京大学環境報告書」を発行しています。
2023年の報告書では東京大学の環境負荷に関するデータのみならず、環境配慮、サステイナビリティ、GX(グリーントランスフォーメーション)、および環境安全衛生管理に関する取り組みが取り上げられ、紹介されています。
参照:環境報告書 | 東京大学
東北大学
東北大学でも東京大学と同様に、「東北大学環境報告書」が発行されています。
「環境報告書2023」 は、環境問題に関する東北大学の最新の教育・研究及び各種の取組を紹介することで、多くの読者と「環境」を考える対話の端緒となることを願って発行されています。
参照:東北大学環境報告書
CSRレポートの書き方ガイドライン
では、実際にCSRレポートはどのように書けばよいのでしょうか。
現時点(2022年8月時点)では、CSRレポートに盛り込まなければならない内容について、法的なルールは日本には存在しません。そのため、既に存在するガイドラインを参考にしながらCSRレポートを書くというのが有効な方法とされています。
CSRレポートの基準作りを進めている国際的なNPOであるGRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)が発行しているガイドラインが、日本や欧米でスタンダードとみなされており、実質的な国際基準となっています。
このガイドラインは、組織・会社が経済、環境、社会に与えるさまざまなインパクトについて一般の人々に情報提供する際の、国際的なベストプラクティスを反映している規準です。このガイドラインを利用して作成された報告書では、組織・会社が持続可能な発展に与える、プラスおよびマイナス両方の影響に関する情報が提供されます。
現時点では、2016年に出版されたGRIガイドラインが、最も有用な資料となっています。
最新のスタンダードの日本語版は、下記よりダウンロードできます。
まとめ
CSRレポートやサステナビリティレポートについて、内容や事例をご紹介しました。作成する際はGRIガイドラインに沿うように心がけましょう。
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こ の 記 事 を 書 い た 人
株式会社OUTSENSE(あうとせんす)
株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性のや機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決をいたします。
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株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性や機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決をいたします。本ブログでは、「折り工学」や研究開発、環境技術について発信しています。
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