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エネルギー・環境イノベーション戦略とは?概要からイノベーションが期待される環境技術分野も解説!

作成日:2023年1月20日 更新日: 2024年12月19日

SDGsを達成するためには、環境技術分野においても革新的なイノベーションが求められます。

日本政府は、環境とエネルギー問題の解決に向けた包括的な戦略を策定し、世界規模での貢献を目指しています。

本記事では、2020年に策定された「革新的環境イノベーション戦略」の詳細やその意義、さらには期待される技術分野や実現に向けた具体的な取り組みを徹底解説します。

ス ポ ン サ ー リ ン ク

エネルギー・環境イノベーション戦略とは?

2020年1月に策定、実行された「革新的環境イノベーション戦略」とは、2019年6月に閣議決定した「統合イノベーション戦略2019」に基づいて制定された、日本の強みを活かしたエネルギー・環境分野に対する革新的なイノベーションを創出するための戦略です。

戦略策定の背景

気候変動とSDGsの必要性

地球温暖化やエネルギー問題が深刻化する中、SDGs(持続可能な開発目標)達成のためには、環境技術分野でのイノベーションが不可欠です。日本はこれを実現するため、次世代の技術開発に重点を置き、国際的なリーダーシップを発揮する方針を打ち出しました。

過去の成功例から学ぶ

日本はこれまで、1970年代に始まった「サンシャイン計画」をはじめ、エネルギー技術の革新に成功してきました。例えば、太陽電池のコスト削減やエネルギー効率化の実現です。これらの経験が今回の戦略策定にも生かされています。

戦略の目的

「革新的環境イノベーション戦略」の主な目的は以下の通りです。

  1. 実現可能なコストでの社会実装
    高度な技術を現実的なコストで普及させ、環境技術の社会実装を促進します。
  2. 世界全体でのGHG排出量削減
    日本国内のみならず、国際的な視点で温室効果ガス(GHG)の削減に貢献します。

戦略の3つの柱

日本ではこの戦略の中で3つの方針を定めています。

  1.  イノベーション・アクションプラン
    16の技術課題を選定し、各分野の具体的な目標とロードマップを設定。コスト削減を目指し、2030年および2050年を目標年として取り組みを進めています。
  2.  アクセラレーションプラン
    研究開発体制の強化や投資促進策を通じて、技術開発を加速します。これには、産学官連携の促進や国際協力の強化も含まれています。
  3.  ゼロエミッション・イニシアティブズ
    日本が培った技術を世界に発信し、グローバルな協力関係を構築。先進的な取り組みを国際社会で共有することで、持続可能な社会の実現を目指します。

サンシャイン計画などの計画により、太陽電池のコストを当初の250分の1の価格まで削減できた経験をもとに、GHGの削減に必要なコストを削減し、早期の社会実装を実現することを目指しています。

また、気候変動問題の解決に向けて、2050年までに80%のGHG排出削減を長期的な目標として掲げています。

注目の環境技術分野

戦略では、特に以下の5つの分野での技術革新が求められています。

①非化石エネルギー分野

再生可能エネルギーの普及と水素社会の構築に重点を置いています。

特に、太陽光発電や風力発電の効率化、さらに水素技術の実用化が進められています。

②エネルギーネットワーク分野

再生可能エネルギーを効率的に利用するための蓄電技術やエネルギー管理システムの開発が進められています。これにより、エネルギーの安定供給が可能となります。

③水素分野

運輸や発電分野での水素利用を推進。水素エネルギーは、化石燃料を代替するクリーンエネルギー源として注目されています。

④カーボンリサイクル、CCUS分野

CCUS(Carbondioxide Capture, Utilization and Storage)技術は、排出された二酸化炭素を回収し、再利用または貯蔵する技術です。 これにより、炭素循環型社会の実現を目指します。

⑤ゼロエミ農林水産業分野

農林水産業における排出ガスの削減技術や資源循環型のシステム開発が求められています。

研究開発体制の強化が重要

イノベーションの実現には、要素技術のコストを抜本的に引き下げ、社会への実装を実現することが求められます。

これには長期間の研究開発を実施する必要があるため、企業のみで行うには非常に高いリスクが発生します。そのため政府では、企業の活動を後押しするため、以下の3つのアクセラレーションプランを策定しています。

①司令塔機能の設置

各署の縦割りをなくした進捗管理を行うための「グリーンイノベーション戦略推進会議」を新たに設置します。

②研究拠点の整備

イノベーションの中心的な研究拠点として「ゼロエミッション国際共同研究センター20」、さらに「次世代エネルギー基盤研究拠点」や「カーボンリサイクル実証研究拠点」を新設し、技術開発を加速します。

また、集中支援(ゼロエミクリエイターズ500)や、先導研究、ムーンショット研究開発制度などを活用することで革新的な技術シーズの発掘・実現を進めています。

③民間投資の増大を促進

環境技術の研究開発の資金を補うため、日本は今後10年で官民合わせて30兆円の研究開発投資を行っていきます。

日本がイノベーションで世界をリードする未来へ

日本は、2050年までに80%のGHG削減を目標に掲げ、さらに技術力を活かして世界の脱炭素化をリードしようとしています。 未来の実現に向けて、国際的な情報共有の場を設けようと、定期的に5つの国際会議を行うことを定めています。

①水素閣僚会議

グローバルな水素利活用に高い関心を持つ国・地域・機関等が参加する会議であり、国際的な視点で水素の利活用に向けた政策の方向性について議論。

②カーボンリサイクル産学官国際会議

カーボンリサイクルの実現に向けて、各国の最新で革新的な取組や知見を話し、国際連携の可能性を確認する会合。

③RD20

CO₂大幅削減に向けて非連続なイノベーション創出に繋げるため、クリーンエネルギー技術分野に精通したG20の研究機関のリーダーを集める会議。

④TCFDサミット

環境対策に積極的な企業に資金が集まり「環境と成長の好循環」を実現していくため、世界の企業や金融機関のリーダーを集めて対話を促す国際的な会議。

⑤ICEF

数多くの国や地域から有識者を集め、技術イノベーションによる気候変動の対策について議論。

 

また、この5つの国際会議の代表者を集めた「グリーンイノベーション・サミット」の開催を行うことで、国際的な協力関係を強化していくとともに、日本の具体的な取り組みを世界に発信していきます。

参考:

第1部第3章第3節革新的環境イノベーション戦略の策定・実行│令和元年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2020)HTML版│資源エネルギー庁

https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2020html/1-3-3.html

まとめ

「革新的環境イノベーション戦略」は、持続可能な未来を実現するための重要な指針です。本記事では、戦略の概要や具体的な技術分野、さらに研究開発体制の強化や国際連携について解説しました。

設計開発等におけるイノベーションについて検討する際、これまでの構造を「折りたたむ」ことによって新たな機能を付加したり、生産性を高めることができる場合があります。設計や開発、また技術導入に関するお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性や機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決をいたします。本ブログでは、「折り工学」や研究開発、環境技術について発信しています。

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