BLOG
ブルーカーボンとは?日本の取り組みと未来を徹底解説【気候変動対策の鍵】
作成日:2022年2月25日 更新日: 2024年12月16日
気候変動が深刻化する中、その解決策のひとつとして注目されているのが「ブルーカーボン」です。この言葉を耳にしたことはありますか?
ブルーカーボンとは、海草藻場やマングローブ林などの海洋生態系が大気中の二酸化炭素(CO₂)を吸収・固定する能力を指します。陸上の森林が「地球の肺」と呼ばれるのに対し、ブルーカーボン生態系は「海の炭素吸収装置」とも言われ、その吸収能力は陸上を上回るともされています。
地球の未来を守るために、ブルーカーボンがどのように活用されているのか、一緒に見ていきましょう。
ス ポ ン サ ー リ ン ク
ブルーカーボンとは?
ブルーカーボンとは、海洋生態系、特に海草藻場、マングローブ林、湿地などが吸収・固定する炭素のことを指します。これらの生態系は、光合成を通じて大気中のCO₂を吸収し、植物体内や海底の堆積物に炭素を長期間蓄積します。このプロセスは、気候変動の緩和に重要な役割を果たしています。
一方、陸上の森林や植物が吸収・固定する炭素は「グリーンカーボン」と呼ばれます。ブルーカーボンとグリーンカーボンは、共に地球の炭素循環において重要な役割を担っていますが、海洋生態系の方が炭素の固定速度が速く、単位面積あたりのCO₂吸収量が高いとされています。
ブルーカーボン生態系の種類
- 海草藻場: 海草は海底に根を張り、種子で繁殖する植物です。代表的なものにアマモがあります。海草藻場は、高いCO₂吸収能力を持ち、海洋生物の生息地としても重要です。
- 海藻藻場: 海藻は仮根で岩などに付着し、胞子で繁殖します。根がちぎれても成長を続ける特徴があり、寿命を終えると海底に沈み、炭素を固定します。
- マングローブ林:
マングローブ林は、熱帯や亜熱帯地域の沿岸に広がる樹木群です。この生態系は高いCO₂吸収能力を持つだけでなく、高潮や津波の防波堤としても機能します。また、根が複雑に絡み合うことで、生物の繁殖地や避難場所を提供するため、生物多様性の保全にも寄与しています。
日本におけるブルーカーボンの取り組み
日本では、藻場や干潟の保全がブルーカーボン活用の鍵となっています。以下に具体例を挙げます。
- 政府の政策:
日本政府は「ブルーカーボン戦略」を掲げ、藻場の再生や湿地の保全を進めています。2030年までにCO₂排出削減目標を達成する一環として、海洋生態系の炭素吸収量を増やすことを計画しています。 - 地域活動:
例えば、瀬戸内海では地元漁業者や自治体が協力し、海草の植え付け活動を行っています。これにより、水質改善や魚介類の生息環境の再生が進められています。 - 企業の参入:
多くの企業がCSR(企業の社会的責任)活動の一環として、藻場の再生プロジェクトに参加しています。特に、カーボンオフセットを目的とした取り組みが注目されています。
国内の具体的な取り組みとして、京都府の取り組みが挙げられます。京都府では昭和53年以降、約22ヘクタールの藻場を消失したとされています。その結果を受けて、平成18年から藻場造成を行っており、失われた藻場を育成するための取り組みとして、砂地に投石を行っています。
引用:京都府,海の森(藻場)づくり
ブルーカーボンの環境への影響
- CO₂固定能力:
海草藻場やマングローブ林のCO₂吸収能力は、陸上の森林に匹敵するか、それ以上と言われています。特に、海底堆積物に炭素を蓄えることで、長期的な炭素固定が可能です。 - 生物多様性の保全:
ブルーカーボン生態系は、多くの海洋生物の生息地となるため、生態系サービスの提供において重要です。例えば、アマモ場はアサリやカレイなどの産卵場としても機能します。
ブルーカーボンの未来と課題
- 技術革新と研究の進展:
人工的に藻場や湿地を作り出す技術が進んでおり、これによりブルーカーボンの効果をさらに拡大できる可能性があります。また、リモートセンシング技術を用いた正確な炭素吸収量の測定も進んでいます。 - 持続可能な利用への課題:
ただし、藻場や湿地は開発や埋め立てにより減少しており、その保全には多大な費用と努力が必要です。また、気候変動そのものが海水温や酸性化を引き起こし、ブルーカーボン生態系の劣化を招く可能性もあります。
2004年から実施している北海道増毛町での海藻藻場の造成の成果として、2018年から2022年に吸収及び固定された二酸化炭素(CO2)は49.5トンとなりました。
参照:日本製鉄株式会社,鉄鋼スラグを活用した藻場再生「海の森プロジェクト」、新たに6カ所で試験開始 CO2の吸収・固定が期待されるブルーカーボン効果も検証
まとめ
ブルーカーボンは、気候変動の緩和や生物多様性の保全において非常に重要な役割を果たします。日本では藻場の再生を中心とした取り組みが進行中であり、さらに技術革新や国際的な連携を通じて、その効果を最大化することが求められています。
今後も、ブルーカーボンの持つ可能性を活かし、持続可能な社会の実現を目指していくことが必要です。
OUTSENSEでは、「折り畳める」展示ディスプレイ等により、輸送コストや収納コストを下げ、環境問題の解決やSDGsの達成に寄与できるような取り組みを行っています。
ス ポ ン サ ー リ ン ク
こ の 記 事 を 書 い た 人
株式会社OUTSENSE(あうとせんす)
株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性のや機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決をいたします。
そ の 他 の 記 事 を 読 む
AUTHOR
株式会社OUTSENSE
(あうとせんす)
株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性や機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決をいたします。本ブログでは、「折り工学」や研究開発、環境技術について発信しています。
\OUTSENSEをフォロー/
ス ポ ン サ ー リ ン ク
そ の 他 の 記 事