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「サステナブルな製品開発の鍵!環境配慮設計と3R・5Rの実践方法とは?」

作成日:2022年2月25日 更新日: 2025年3月13日

近年、企業が環境負荷の低減を意識することが当たり前になりつつあります。その中で注目されているのが「環境配慮設計」です。

製品のライフサイクル全体を通して環境への影響を考慮し、持続可能な社会の実現を目指すこの設計手法は、3R・5Rの概念とも密接に関係しています。


本記事では、環境配慮設計の基本、3R・5Rとの関係、最新の動向や企業の実践例をわかりやすく解説します。

ス ポ ン サ ー リ ン ク

環境配慮設計とは?

環境配慮設計の定義と目的

「環境配慮設計」とは、製品の設計段階から環境への影響を最小限に抑えることを目的とした手法です。具体的には、以下のようなポイントを考慮して設計を行います。

✅ 資源の有効活用(リサイクル素材の使用)
✅ エネルギー消費の削減(省エネ設計の導入)
✅ 廃棄物の最小化(長寿命化・分解しやすい設計)

引用:環境展望台、「環境技術解説」

DfE(Design for Environment)とは?

環境配慮設計は**「DfE(Design for Environment)」**とも呼ばれます。

これは「環境に配慮した設計」という意味で、企業のCSR(企業の社会的責任)やSDGsの達成において重要な考え方です。

3R・5Rと環境配慮設計の関係

3R(リデュース・リユース・リサイクル)とは?

「3R」とは、環境負荷を減らすための基本的な考え方です。

  • Reduce(リデュース):廃棄物の発生を最小限に抑える(例:過剰包装の削減)
  • Reuse(リユース):繰り返し使える設計にする(例:詰め替え容器の導入)
  • Recycle(リサイクル):再資源化しやすい素材を使用(例:ペットボトルのリサイクル)

5R(リフューズ・リペアを加えた新しい概念)

近年は、3Rに加えて「5R」の概念も普及しています。

  • Refuse(リフューズ):不要なものを購入・受け取らない(例:レジ袋の削減)
  • Repair(リペア):壊れたものを修理し、長く使う(例:修理可能な家電の導入)

引用:ELEMINIST、「リフューズ、リペアを加えた「5R(ファイブアール)」とは?」

環境配慮設計に3R・5Rを取り入れるメリット

環境配慮設計を行うことで、以下のようなメリットがあります。
✅ 企業のブランド価値向上(環境配慮型製品の需要増)
✅コスト削減(長寿命設計による製造コストの低減)
✅法規制への対応(各国の環境規制への準拠)

なぜ環境配慮設計が求められるのか?その背景と歴史

経済の成長が優先され公害が多かった時代では、工場からの排水や排気ガスによる水質、大気、土壌等の汚染に対し、工場等の排出口での汚染物質の排出基準を設けるなどの、製造工程の末端での対策「エンドオブパイプ(End of Pipe)」が行われていました。

しかし、1990年代になって、廃棄物発生量の増大や地球環境全体が問題視され、1992年の地球サミットで採択されたアジェンダ21にて、生産工程の上流から対策を講じようという考え方が広まりました。その結果、環境配慮設計では、環境配慮の対象を製造段階だけでなく、消費やリユース、リサイクル、さらには最終処分の段階までを含め取り組むことが求められるようになりました。

2000年代になると、「循環型社会形成推進基本法」(平成13年1月施行)において循環型社会および低炭素社会への転換が必要とされ、設計段階から製品のライフサイクル全体での環境負荷を削減するための設計
が求められるようになりました。

また、国際的にも国際標準化機構(ISO)が、経済活動での環境配慮に関して定める規格シリーズ(ISO14000番台)の中に、環境適合設計(DfE:Design for Environment)を加え、製品設計段階からの環境配慮の普及を促進しています。

さらに、2004年には環境マネジメントシステム(ISO14001)が改訂され、規格の取得者(製造事業者等)が直接管理できなくても影響を及ぼすことができる環境側面(使用時、廃棄時等)もマネジメントの対象となり、製品のライフサイクルやサプライチェーンの管理が求められるようになるなど、環境配慮設計の重要性が増してます。

引用:環境展望台、「環境技術解説」

環境配慮設計の実践方法と評価基準

製品アセスメントとは?

製品アセスメントとは、製品の設計段階で実施する、環境配慮設計による環境負荷低減の内容を確認(チェック)し、その改善度を評価する手法であり、環境負荷の低減を行うことを目的としています。

家電業界の製品アセスメントの評価項目は、15の大項目と、それぞれさらに細かく分類した50の小項目で構成され、環境や資源の有効利用のための包括的な配慮が可能な体系として整備されています。

引用:一般財団法人家電製品協会、「環境配慮設計」

製品のライフサイクル

製品のライフサイクルとは、「原材料・部品調達から生産、輸送・販売、使用、リユース・リサイクル、廃棄など」、製品が産まれてから廃棄されるまでの流れのことを指します。

引用:一般財団法人家電製品協会、「環境配慮設計」

有害物質の使用制限

有害物質の使用には「含有量規制と総含有量規制と濃度規制」があります。

CMR物質「人の健康に影響を及ぼす物質」

PBT物質「難分解性や生物備蓄性と有毒性のある物質」

・RoHS指令 / REACH指令(ヨーロッパ)

規制物質は「鉛・カドミウム・水銀・六価クロムなど」

・TSCA(アメリカ)

有害物質規制法:難分解性と生物蓄積性と毒性化学物質などPBT物質に関する規制

・PFOA規制

有機フッ素化合物に対する規制。

引用:環境配慮設計DfEと3Rの違い【キーワード学習】

企業の環境配慮設計の取り組み事例

環境配慮設計は、多くの業界で実践されており、特に自動車業界や家電業界では、リサイクルや修理のしやすさを考慮した設計が進んでいます。

自動車業界の取り組み

✅ リサイクルしやすい素材の使用(バンパー・内装材などの樹脂リサイクル)
✅ 解体しやすい構造設計(締結点数の削減、異素材の分離設計)
✅ EV(電気自動車)の環境負荷低減(バッテリーのリユース・リサイクル技術の強化)
✅ 軽量化による燃費向上(カーボンニュートラルに向けた燃費削減技術)
例:トヨタは、使用済みハイブリッド車のバッテリー回収・再利用システムを確立し、EVのサステナビリティを強化しています。

家電業界の取り組み

✅ 修理しやすいモジュール設計(交換可能な部品構造で長寿命化)
✅ リサイクルを考慮した素材選び(分別・分解しやすいプラスチックや金属の採用)
✅ 省エネ設計(冷蔵庫・エアコンの消費電力削減、エネルギー効率向上)
✅ 廃棄時のリサイクル効率向上(家電リサイクル法に基づいた分解しやすい構造)
例:パナソニックは、冷蔵庫や洗濯機のモジュール化を進め、修理・交換が容易な設計を採用しています。

アパレル業界の取り組み

✅ リサイクル繊維の活用(ペットボトル由来のポリエステル繊維など)
✅ 生分解性素材の採用(オーガニックコットンやリヨセル繊維)
✅ 廃棄衣類の再利用プログラム(回収→リメイクやリサイクル繊維化)
例:ナイキやユニクロは、回収した衣類をリサイクルし、再生繊維として新たな服を作る取り組みを進めています。

最新の環境配慮設計の動向と今後の展望

国際的な規制強化

環境規制は年々強化されており、各国でサステナブルなものづくりを促進する動きが活発化しています。
✅ EU:「サーキュラーエコノミー政策」(製品のリサイクル率向上、プラスチック削減)
✅ 日本:「プラスチック資源循環法」(2022年施行、使い捨てプラスチックの使用削減)
✅ アメリカ:「TSCA(有害物質規制法)」(環境負荷の高い化学物質の使用制限)

今後求められる環境配慮設計の方向性

✅ カーボンニュートラルの推進(製品の脱炭素設計、再生可能エネルギーの活用)
✅ リサイクル技術の発展(バイオプラスチックや分解しやすい新素材の開発)
✅ デジタル技術の活用(AI・IoTを活用したエネルギー効率最適化)

今後は、「作る・使う・捨てる」ではなく「循環させる」設計が主流になり、企業はサステナブルな製品開発にシフトしていくことが求められます。

まとめ

本記事では、環境配慮設計が求められるようになった背景や流れ、製品アセスメント、3Rとの関連性等について見てきました。

環境配慮設計は、企業の持続可能な成長の鍵となります。今後も、サーキュラーエコノミーや脱炭素の流れを踏まえ、設計段階から環境負荷を抑えることが求められるでしょう。

OUTSENSEでは、「折りたたむ」ことにより繰り返し使える展示ディスプレイや、「折りたたむ」ことによる部品点数の削減等、「折り工学」を活用した環境配慮設計をご提案することが可能です。ぜひ一度お問い合わせください。

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株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性のや機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決をいたします。

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株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性や機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決をいたします。本ブログでは、「折り工学」や研究開発、環境技術について発信しています。

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