2023.01.20

エネルギー・環境イノベーション戦略って何?その概要から、イノベーションが期待されている技術分野についても解説!

エネルギー・環境イノベーション戦略の概要

エネルギー・環境イノベーション戦略とは?

2020年1月に策定、実行された「革新的環境イノベーション戦略」とは2019年6月に閣議決定した「統合イノベーション戦略2019」に基づいて制定された、日本の強みを活かしたエネルギー・環境分野に対する革新的なイノベーションを創出するための戦略です。

策定の背景

策定の背景としては、戦略の内容を社会的に実装できるコストに抑えること、また、世界に広めていくことを目的としています。

日本国内のGHG(温室効果ガス)の排出量の削減だけではなく、世界全体のGHG排出量削減に向けて大きく貢献することが計画されています。

日本が目指す将来のエネルギー環境システムの方向性

日本ではこの戦略の中で3つの方針を定めています。

①GHG排出削減につながる16の技術課題を選び、具体的なコスト目標等を示した「イノベーション・アクションプラン」

②これらを実現するための研究体制や投資促進策等を示した「アクセラレーションプラン」

③社会実装に向けてグローバルリーダーとともに発信し共創していく「ゼロエミッション・イニシアティブズ」

 

サンシャイン計画などに計画により、太陽電池のコストを当初の250分の1の価格まで削減できた経験をもとに、GHGの削減に必要なコストを削減し、早期の社会実装を実現することを目指しています。

また、気候変動問題の解決に向けて、2050年までに80%のGHG排出削減を長期的な目標として掲げています。

引用:第1部第3章第3節革新的環境イノベーション戦略の策定・実行│令和元年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2020)HTML版│資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2020html/1-3-3.html

エネルギー・環境イノベーション分野の課題とその未来

技術的なイノベーションが求められる分野

技術的なイノベーションの戦略の方針として定められた、イノベーション・アクションプランでは、大きく5つの重要技術領域として技術的イノベーションが求められる分野として定められています。

 

①非化石エネルギー分野

再生可能エネルギーの電力供給

水素やカーボンリサイクル

 

②エネルギーネットワーク分野

再生可能エネルギーの導入に不可欠な蓄電池

エネルギーを循環できるようにする技術

 

③水素分野:

運輸、産業、発電など様々な分野で活用可能な水素技術

 

④カーボンリサイクル、CCUS分野

炭素の回収、利用、貯蔵を行う技術

→CCUS(Carbondioxide Capture, Utilization and Storage)

カーボンリサイクル技術

 

⑤ゼロネミ農林水産業分野

農林水産業にて発生する炭素・窒素を固定する技術

引用:第1部第3章第3節革新的環境イノベーション戦略の策定・実行│令和元年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2020)HTML版│資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2020html/1-3-3.html

研究開発体制の強化が重要

イノベーションの実現には、要素技術のコストを抜本的に引き下げ、社会への実装を実現することが求められますが、これには長期間の研究開発を実施する必要があるため、企業のみで行うには非常に高いリスクが発生します。そのため政府では、企業の活動を後押しするため、以下の3つのアクセラレーションプランを策定しています。

 

①司令塔機能の設置

各署の縦割りをなくした進捗管理を行うための「グリーンイノベーション戦略推進会議」を新たに設置します。

 

②「ゼロエミッション国際共同研究センター」の設置等

イノベーションの中心的な研究拠点として「ゼロエミッション国際共同研究センター20」、さらに「次世代エネルギー基盤研究拠点」や「カーボンリサイクル実証研究拠点」を新設し、技術開発を加速します。

また、集中支援(ゼロエミクリエイターズ500)や、先導研究、ムーンショット研究開発制度などを活用することで革新的な技術シーズの発掘・実現を進めています。

 

③民間投資の増大を促進

環境技術の研究開発の資金を補うため、日本は今後10年で官民合わせて30兆円の研究開発投資を行っていきます。

引用:第1部第3章第3節革新的環境イノベーション戦略の策定・実行│令和元年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2020)HTML版│資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2020html/1-3-3.html

日本がイノベーションで世界をリードする未来へ

日本がイノベーションで世界にリードする未来の実現に向けて、国際的な情報共有の場を設けようと、定期的に5つの国際会議を行うことを定めています。

①水素閣僚会議

グローバルな水素利活用に高い関心を持つ国・地域・機関等が参加する会議であり、国際的な視点で水素の利活用に向けた政策の方向性について議論。

 

②カーボンリサイクル産学官国際会議

カーボンリサイクルの実現に向けて、各国の最新で革新的な取組や知見を話し、国際連携の可能性を確認する会合。

 

③RD20

CO₂大幅削減に向けて非連続なイノベーション創出に繋げるため、クリーンエネルギー技術分野に精通したG20の研究機関のリーダーを集まる会議。

 

④TCFDサミット

環境対策に積極的な企業に資金が集まり「環境と成長の好循環」を実現していくため、世界の企業や金融機関のリーダーを集めて対話を促す国際的な会議。

 

⑤ICEF

数多くの国や地域から有識者を集め、技術イノベーションによる気候変動の対策について議論。

 

また、この5つの国際会議の代表者を集めた「グリーンイノベーション・サミット」の開催を行うことで、国際的な協力関係を強化していくとともに、日本の具体的な取り組みを世界に発信していきます。

 

参考:

第1部第3章第3節革新的環境イノベーション戦略の策定・実行│令和元年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2020)HTML版│資源エネルギー庁

https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2020html/1-3-3.html

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