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CSVがわかる!CSRやSDGsとの違いと企業事例|利益と社会貢献を両立する方法

作成日:2022年8月27日 更新日: 2024年12月19日

CSRに似た言葉で、「CSV」を聞いたことはありますか?(エクセルのファイルのことではありません。)

SDGsが脚光を浴びる中で、十数年前に登場したCSV経営にも注目が集まっています。

本記事では、CSVの基本的な考え方から、CSRやSDGsとの違い、具体的な事例、そして企業が取り組むべき理由までを詳しく解説します。

ス ポ ン サ ー リ ン ク

目次

CSVとは?

CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)とは、2011年に経営学者のマイケル・ポーター教授がハーバード・ビジネス・レビューにおいて提唱したもので、企業が社会ニーズや問題に取り組むことで社会的価値を創造した結果、経済的な価値も創造されることを意味します。

CSVの3つの戦略的アプローチ

  1. 製品と市場の見直し
    新しい製品やサービスを通じて、未解決の社会課題に対応。たとえば、環境に配慮した商品や、低所得層向けの生活必需品の提供が挙げられます。
  2. バリューチェーンの生産性向上
    サプライチェーンの効率化や、環境負荷の低減を図ることで、企業の収益性と社会的影響を両立します。
  3. 地域社会との協力(クラスター形成)
    地域経済やインフラを強化することで、企業が活動しやすい環境を整え、社会全体に利益を還元します。

CSVとCSRの違い

CSR(企業の社会的責任)は、企業活動の一環として社会に貢献する取り組みを指します。 一方、CSVは社会課題の解決を企業のビジネスモデルに組み込むことに重点を置いています。

具体的な違い

項目 CSR CSV
目的 社会的責任を果たす 社会課題を解決し利益を創出
アプローチ 事業活動外での寄付や支援活動 事業活動そのものに組み込む
植林活動 燃費向上技術の開発
CSVは企業が普段行っている事業を通して社会的な課題を解決しようというものであり、CSRは企業が普段行っている事業に関係のない活動のことも指します。 例えば、自動車メーカーが植林活動を行うことはCSRに当たります。

CSVとSDGsの違い

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、「持続可能な開発目標」を意味しています。2030年までに持続可能な社会を構築することを目指す国際目標であり、2015年の国連サミットで採択されました。

SDGsは世界で取り組むべき社会課題に対する目標であるのに対して、CSVやCSRはそれらの課題に対する解決のための具体的な方法論であるというのが大きな違いです。

CSVとESGの違い

ESG(Environment Social Governance)とは名前の通り、環境・社会・統治の頭文字を取った略語であり、企業が環境問題や社会問題に積極的に取り組んでいるかどうか、また、企業統治がしっかり行われているかどうか等を判断材料に投資先の企業を選ぶという考え方です。

短期的な利益追求のために起こる不祥事を抑制すること等を目的に2000年代初頭から提唱され始めました。

企業がESGを意識した経営を行うことで、それらを重要視する投資家からの融資を受けやすくなるというメリットがあります。実際、国連が2006年に、投資家にESGの考え方を重視した投資をさせることを目的に提唱した責任投資原則(PRI)に合意した機関の数は急激に増加しています。

PRI署名機関数の推移

出典:朝日新聞SDGsアクション

なぜCSVが注目されるのか?

近年、消費者や投資家の価値観が大きく変化しました。

短期的な利益追求ではなく、社会や環境への貢献が重視されるようになり、CSVが企業成長の鍵となっています。

注目の背景

  • 消費者行動の変化: 環境や倫理を重視する消費者が増加。
  • 投資家の価値観の変化: ESG投資の普及により、持続可能性を求める動きが強まる。

全世界的に取り組むべき社会課題であるSDGsも同様で、何か利益を得るために取り組むものではなく、取り組むこと自体に意味があるものというように企業の認識が変わってきたことが大きな要因と考えられています。

利益につながるCSV経営

CSVの考え方に基づき社会問題の解決を事業化することをCSV経営と呼びます。

CSV経営を通して、企業は自社の社会的イメージの向上だけでなく、経済的な効果を享受することもできます。

  1. 競争力の向上
    社会課題に対応した製品やサービスで市場シェアを拡大。
  2. 信頼性の向上
    企業の社会的責任を果たすことでブランドイメージが向上。
  3. 長期的利益
    持続可能な経済活動が企業の安定的な成長を支える。

CSV経営の事例

ネスレ

出典:サステナビリティの部署はなく、社員一人ひとりがCSVで課題解決――嘉納未來・ネスレ日本 執行役員 | サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan

世界最大の食品飲料会社として知られるネスレでは、国際連合の持続可能な開発のための2030年アジェンダに合致する長期目標として、上図のとおり大きくの3つの目標を設定しました。

例えば個人と家族のための目標としては、「ネスカフェ アンバサダー」というサービスを通じて職場や自宅でのコミュニケーションの活性化に貢献することを挙げています。また、社員育成の施策としてイノベーションアワードを実施したり、2025年までに製品パッケージを100%リサイクルもしくはリユース可能にするという宣言も行っています。

エーザイ

製薬会社のエーザイは、医薬品の提供のみにとどまらず、誰しもが医薬品にアクセスできるようにするための取り組みや、地域医療に関する課題への解決策の提供等の活動を通じて、SDGsにおいて掲げられた各目標に合わせたCSVに取り組んでいます。

たとえば、目標3「すべての人に福祉と健康を」という目標に標準を合わせて、革新的な医薬品の創出および医薬品の提供にとどまらないソリューションの提供を目指しています。

また目標1の「貧困をなくそう」と紐付いて、発展途上国・新興国における医薬品アクセス向上への取り組みを通じて、健康福祉の向上、中間所得層の拡大による経済成長への貢献をめざすことも挙げられています。

これらはエーザイの中核事業である製薬事業に関連するものであるばかりか、開発途上国・新興国という新たな市場での事業拡大にも繋がり得るため、まさにCSV的なアプローチであると言えます。

以下のマトリックスはサステナビリティに関する各施策をエーザイの本源的企業価値と、ステークホルダーにとっての関心を軸に整理したものです。エーザイではこのようなマトリクスを利用して課題への取り組みの進捗や、市場の変化を踏まえて必要に応じてレビューとアップデートを実施しています。

出典エーザイの重要課題 | サステナビリティマネジメント

CSVの未来と今後の課題

CSVの普及には、以下の課題も指摘されています

  • 中小企業への導入の難しさ: リソースの制約。
  • 短期利益と長期戦略のバランス: 早期の経済効果が見えにくい。

まとめ

CSVは、社会課題を解決しながら企業が成長する持続可能な経営モデルです。 事業活動を見直し、社会的価値を生み出すことで、企業は新たな市場を切り開くチャンスを得られます。 社会と共に発展する経営戦略を、ぜひ自社でも検討してみてください。

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株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性のや機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決をいたします。

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株式会社OUTSENSEは、「折り工学」を専門とした設計会社です。折りによるデザイン性や機能性の付与を通して、新規事業開発や製品課題解決をいたします。本ブログでは、「折り工学」や研究開発、環境技術について発信しています。

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