2023.01.20

第五次環境基本計画の概要と重要なポイントを分かりやすく解説します!

第五次環境基本計画とは

第五次環境基本計画とは

環境基本計画とは、「環境基本法第15条に基づき、環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱等を定めるもの。」です。(引用:環境省,第五次環境基本計画の概要)環境基本計画は、おおよそ6年ごとに見直しがされ、前回は2018年4月に第五次環境基本計画が閣議決定されています。

 策定までの流れとして、環境大臣と中央環境審議会の諮問及び答申を実施し、環境大臣の作成した案をもとに政府の計画として閣議決定されます。第五次環境基本計画の策定経緯に関しては、下記リンクよりご参照いただけます。

引用:環境省,環境基本計画 | 平成30年4月17日閣議決定

第五次環境基本計画策定の背景(環境・経済・社会・国際的な潮流)

国際的な潮流として、2015年9月の「持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGsを含む)」と2015年12月「パリ協定」の採択があり、新たな文明社会を目指すための大きなパラダイムシフト(転換点)であると考えられています。この潮流を踏まえて、日本の環境政策方針として作成されたのが、第五次環境基本計画です。

 日本が抱える課題は、環境、経済、社会の3つの分野に分けられます。相互に関連した課題を解決していく総合的な向上が求められます。

  1. 環境面での課題

・地球温暖化が問題視される温室効果ガスの排出量

・少資源国家である日本でも課題認識されている資源の有効活用

・少子高齢化による森林や里地里山の荒廃と野生鳥獣被害

・生物多様性の保全 など

  1. 経済面での課題

・少子高齢化による地域経済の衰退

・新興国との国際競争

・急速に変化する最新技術への対応 など

  1. 社会面での課題

・少子高齢化、人口減少、出生率の低下

・働き方改革

・大規模災害への備え など

本計画の基本的な方向性

第五次環境基本計画では、国際的な潮流と日本国内の課題を踏まえて、日本が目指すべき姿(環境政策の基本的方向性)を定めました。1つ目は、自立・分散型の社会を形成し、地域の特性を生かし「地域循環共生圏」の創造。2つ目は、伝統と文化に根付いた自然との共存や公害を克服した歴史など、「世界の範となる日本」の確立。3つ目は、上記をはじめとしたサステナブルな社会「環境・生命文化社会」の実現です。

 これらの達成に向けた動きとして、環境政策を中心とした幅広い分野への総合的なイノベーションの創出を実施し、サステイナブルな質の高い社会を実現する取り組みを実施します。そのうちの1つにSDGsがあり、17のゴール(169 のターゲット)が相互に関係した複数の課題を総合的に解決することを目指す、マルチベネフィットな考え方の取り組みです。複合的で解決が難しいトレードオフの関係に見える社会課題に対して、どちらにも「Win-Win」な解決策の発想が必要とされています。他にも、地域資源の活用を通じた地方活性化及び、パートナーシップの充実を測った産官学の連携による新たな成長を目指した考え方が組み込まれています。

6つの重点戦略

第五次環境基本計画における施策として、6つの重点戦略を選定し、分野横断した総合的向上を目指すものです。下記に6つの重点戦略を列挙します。

  1. 持続可能な生産と消費を実現するグリーンな経済システムの構築
  2. 国土のストックとしての価値の向上
  3. 地域資源を活用した持続可能な地域づくり
  4. 健康で心豊かな暮らしの実現
  5. 持続可能性を支える技術の開発・普及
  6. 国際貢献による我が国のリーダーシップの発揮と戦略的パートナーシップの構築

 これらを実現するためにはパートナーシップの充実と強化が必要であり、社会を構成する国、地方公共団体、事業者、民間団体及び国民が、自らの責任の下で環境対策に取り組むことで実現を目指していくものです。

重点戦略を支える施策

 重点戦略を支える施策として、環境保全の取り組みを中心とした環境政策が策定されました。下記に6つの環境政策を列挙します。

  1. 気候変動対策
  2. 循環型社会の形成
  3. 生物多様性の確保・自然共生
  4. 環境リスクの管理
  5. 基盤となる施策
  6. 東日本大震災からの復興・創生及び今後の大規模災害発災時の対応

 高度経済成長期に発生した公害への対策から環境政策の確立が始まり、気候変動、廃棄物、生物多様性などの幅広い分野での対策が検討されてきました。これからのサステナブルな社会の実現に向けて、日本国における環境計画基本法に基づいた取り組みを一人一人が心がけていく必要があります。

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